アメリカがヨーロッパから学ぶこと――クルーグマン氏の考え
2010年 01月 14日
ポール・クルーグマン氏は言います。Learning from Europe
(1月10日)という記事です。
アメリカでは保険改革が進んでいますが、それを推し進めるオバマ大統領
に対して、アメリカをヨーロッパスタイルの社会民主主義にするのではない
かと、保守層は警戒を強めているそうです。
ヨーロッパは経済が停滞し、高い税金や社会保障でいろいろな問題を抱え
ていると保守層は言いますが、クルーグマン氏はこの考えに反対です。
彼は言います。
「ヨーロッパは経済的に成功しており、その成功は社会民主主義は機能する
ということを示している」
パリやロンドン、フランクフルトを訪れたときに、人々は貧しく見えるだろうか?
決してそんなことはありません。
アメリカとヨーロッパの統計を比べると、1980年代以降のGDPの成長率は
アメリカが年3%に対して、EU12カ国が2.2%。
一見アメリカが勝っているように見えますが、国民1人当たりのGDPの伸び率
を見ると、ほぼ同じで、アメリカが1.95に対して、EUは1.83。
ITの分野では1990年代にアメリカが大きな飛躍を遂げて多くの企業が
育ちましたが、その後はEUが追いつき、ブロードバンドの環境では、ヨー
ロッパのほうが早いし、安いという現状になっています。
生産性で見ると、フランスやドイツの人たちの働く時間は少ないですが、
アメリカと比較すると、1時間当たりの生産性は変わりません。
クルーグマン氏は、社会的正義と発展はいっしょに遂げられると締め
くくっています。
私個人としては、イギリスの企業に働いていたこともあり、ヨーロッパの
人たちの暮らしには関心がありました。
イギリスは少し違うかもしれませんが、フランスやドイツの人は仕事を
ほぼ定時に終えて家に帰りますし(デパートなどは10分くらい前には
片づけが終わり、出ていってほしいという雰囲気が出ている感じがしま
した)、夏や冬には長期の休暇を取ります。
(「休暇のために働いているんだ」と堂々とおっしゃっていた方もいました。)
それで国が発展していないかというと、もちろんいろいろな問題はある
けれど、それなりに生活をエンジョイしているように思いました。
よい意味で、自然と仕事と生活のバランス(ワークライフバランス、もし
くはワークライフハーモニー)が取れているように思います。
クルーグマン氏が言うように、課題はあるけれど、ヨーロッパの人たち
の生活から何か学べるものがあるのかもしれないなーと感じたのでした。