人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アマプロ株式会社代表 林正愛が日々感じていることをつづります


by りんちゃん
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

『デザイン思考と経営戦略』

最近『デザイン思考と経営戦略』という書籍を読みました。
『デザイン思考と経営戦略』_e0123104_5411626.jpg

執筆者の奥出直人先生は、私が通う慶応メディアデザイン研究科(KMD)の
教授で、デザイン思考は、私の大学院でしっかりと身につけるべきものとし
て言われています。奥出先生が行うデザインの基礎科目は受けたものの、
研究室でより深く学ぼうということになり、読んでみました。

新しい考え方がいろいろあり、気になったことをまとめてみます。

○新商品を作り、新しい事業を興すために最も大切なことは、ものつくり
への情熱、どうしても作りたいものを見つけ出すことである。思いをそれ
を伝える物語が必要。
ただし、熱い気持ちだけでは商品は作ることができない。デザイン思考は
こうした熱いものつくりへの気持ちを維持したまま、ビジネスに商品を投入
する作業を支援するコンピューター・アプリケーションのようなもの。
顧客を発見し、その顧客を満足させるために何を作ればいいのか、つまり
コンセプトを生み出し、そのコンセプトをどうやって作るのか、さらに顧
客にどのように販売するかを考えるビジネス志向の方法。

○イノベーションはマーケティングでは判断できない

○開発者次の5つの質問にしっかりと自分の力で答えなくてはいけない。
1 何を作るのか(商品やサービスのコンセプトと全体像)
2 なぜ作るのか(目的、作る人間のモチベーション)
3 どうやって作るのか(自社の技術の棚卸し、先端技術)
4 どうやって生産するのか(生産技術・量産)
5 どうやって届けるのか(流通と決済がセットになった方法)

○イノベーションを無用にした黄金時代のアメリカ
新しく生まれた中間階級としての労働者たちは、資本主義の合理的な精神
によって行動する。政府も規制をして労働者を守った。大企業が「社会
主義的」傾向を強め、イノベーションは起きにくかった。

○デザイン思考はデザイナーの仕事を奪うものではない。
スティーブ・ジョブスは「顧客が何を求めているかを探すのは顧客ではない」
と言った。これは顧客を無視しているのではなく、顧客の世界を理解すること
を示している。新しいプラットフォームを作る、あるいはコミュニケーション
の方法をデザインする分野にまで広がる

○デザイン思考をマネジメントするために7つのやってはいけないこと
  by IDEOニューヨーク・オフィス代表、ライアン・ジャコビイ
1 答えはここにあるのであって、外にはないと考える
2 話ばかりして作らない
3 可能性を検討しているときに、実効性を議論する
4 利口に振る舞う
5 間違いを許さない
6 他部門が集まれば多様な視点を得ると勘違いをする
7 プロセスを守ればうまくいく

○イノベーションとは企業家の性格や心理ではなく、「姿勢と行動」

○物語を作りそれを提示するという役割もデザイナーには必要。

○iPadはハードウェアとソフトウェアがわかちがたく結びついたプロ
ダクト。ハイブリッド・プロダクトと呼んでもいい。
70年代までは新商品の開発はハードウェアの分野でのみ行われていて、
その後登場したソフトウェアもハードウェアと切り離されて開発されて
いた。しかし、今はソフトとハードの境界が曖昧になっている。これが
ハイブリッド・プロダクトであり、「21世紀のものつくり」と呼べる。
日本企業の多くがこれに対して打つ手を持っていない。

○プロダクトを作るには2つの方法がある。①仕様を詳細に決めてから
プロトタイプを作る方法、②簡単なプロトタイプをいくつも作りながら
仕様を決めていく方法。今は後者が求められている。
コンセプトの立案は顧客に始まる。

○創造性が高いと評価された子供のほうが、専門的な仕事に就いて活躍
していた。事実を見つけ、問題を見つけ、それを終えてからアイデアを
見つける。

○21世紀システムに向けてのデザインとは、いま社会で起きている
「やっかいな問題」を解決する方法。

○デザイン思考とは、人間にとって価値のあることを見つけ出して、
技術を使ってそれをプロトタイプにして、そのプロトタイプを使った
ビジネスをイノベーションする方法。

なんだか気になることの羅列になり、ごめんなさい。
ただ、「ハイブリッド・プロダクト」が求められる今の時代には、
これまでのデータやマーケティングだけに頼るのではなく、現場に行き、
顧客のニーズを汲み取ってそれをデザインしていく力、それが求め
られている、と改めて痛感しました。

奥が深く、実践できるようになるには時間が少しかかりそうですが、
じっくりと考えながら身につけていけたらと思ったのでした。
by jungae | 2012-09-25 06:13 |