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アマプロ株式会社代表 林正愛が日々感じていることをつづります


by りんちゃん
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サプライチェーンマネジメント―香港、中国の企業を見る

こんにちは。サプライチェーンマネジメントの試験の勉強をしていると書き
ましたが、授業について1度もまとめていませんでした。
日本で学ぶものとそれほど変わりはないと思うのですが、ロジスティックス
の基本と、香港、そして中国ならではのサプライチェーンマネジメントにつ
いて、かなり乱暴ではありますが、印象に残ったことをかいつまんでまとめ
てみます。

○ロジスティックスが製品に価値を与えることはない。製品のコストを増やす
だけ。ただし、ロジスティックスをとおして顧客は消費者に価値を創造する、
製品やサービスのサプライヤーに価値を創造する。どれだけ付加価値を
創造し、それを示せるかがカギ。

○プロセスにおけるロジスティックスの活動
―交通や輸送
―倉庫や保管
―パッケージ(輸送に適したようにデザインする)
―マテリアルのハンドリング
―注文の完了

○そのほかのロジスティックスの活動
―需要の予想
―生産の計画
―購買
―カスタマーサービス:修理やメンテナンス
―返品の取り扱い
―パーツとサービスサポート
―破棄

○ロジスティックマネジメントとはすべてのロジスティックス活動を調整し、
最適化し、ロジスティックス活動をマーケティング、セールス、製造、
財務、情報テクノロジーを含むほかの機能と統合する機能。

○ロジスティックスの4つの主な測定方法:コスト、質、時間、フレキシビリティ
←常に顧客にとって何が大切かという視点を忘れない。

○Bullwhip effect(ブルウィップ効果:需要の変動が拡大し、サプライチェーン
に大きな影響を及ぶすこと)を減らすことが大切。これによって在庫が増大した
り、在庫切れを起こしたり、機会損失、高い生産コスト、高い輸送コストを招く。
これを避けるために、情報共有を徹底し、需要情報を一元化、予測の精度を
上げることが求められる。

WalmartやBarrilla、Apple、Nokiaなどのケーススタディをしたのですが、
香港、中国の企業のケーススタディがとても興味深く、まとめてみます。

PCH International
中国の深センに拠点を置くロジスティックスの会社。IT企業が中国で生産する
ための情報、製品、金融の流れをコントロールしている。
―中国にはサプライヤーの数が多く、どれを選んでいいかわからない。適切な
サプライヤーを選定し、しっかりと生産・納品させることを徹底させた。
―従来はサプライヤーは注文を受けて生産をしている間は銀行から融資を受
けて、資金をつないでいた。しかし、商品サイクルが短くなる中で、それがむず
かしくなり、PCH Internationalが資金を貸してサポートした
―顧客の要求がどんどん高くなる中で、生産サイクルも短くなり、それに柔軟
に応じる体制を整えた。
―顧客と共通のインフォメーションシステムを構築し、リアルタイムでデータを
共有する。顧客に応じてカスタマイズしたソリューションを提供していく。
―生産にも深くかかわり、開発から、製造、未完成の製品の保管、顧客への発送
まですべてを請け負う。

Li & Fung
元々は香港を拠点とする商社で、100年前には、中国で生産されたものを売り
たいという売り手を海外の買い手に紹介し、中国語の資料を英語に翻訳する
サービスを提供していた。
アメリカのハーバードでMBAや博士号を取ってきた息子たちが1970年代に
会社に入り、大きく変貌。アメリカにいた際に、情報システムの重要性に気づき、
それに投資をしつつ、1980年代後半からM&Aを通して大きく成長してきた。
理念は「サプライチェーンのどれ一つも所有することなく、工場と消費者の
サプライチェーンの効率性を上げ、付加価値の高いサービスを提供すること。」
―多くの業界のノウハウを蓄積することで、単なる仲介業から、商品デザイン、
企画、中国のサプライヤーの選定(現在は中国以外も)、生産、流通そして、消
費者に届けるまですべてを行うまでに。
―アメリカでのOnshore(現地)サービスの展開は大きな転換点で、マンハッタ
ンに大きなデザインスタジオを設け、より顧客の情報に近くなり、Stickness(密
着度)を高めた。

かなりはしょった説明になり、ごめんなさい。
「世界の工場」と言われた中国の労働力をどう効率的に使うか。
それに頭を悩ませていたIT企業、多国籍企業の成長を大いに助けたと言えそう。
今は中国が「世界の消費国」になり、いろいろ変化があるようですが、一つの事例
として学ぶのは興味深かったです。

単なる仲介業ではなく、どんな付加価値をもたらせるか。
顧客が「○○のことならPCHに聞こう、Li& Fungに聞こう」という状況をいかにつくり、
価値の高いサービスを提供し、離れられない関係を作るか。
サプライチェーンで一番大切なところなのかなーとも感じました。
まとまりがなくなり恐縮ですが、改めて「付加価値」という言葉がとても心に響いた
のでした。
by jungae | 2013-10-15 10:42 | 香港HKUST親子留学記