『静かなリーダーシップ』
2012年 12月 16日
受けていました。「ネットワークリーダーシップ」(高木晴夫先生)という授業を受講し、
そこで『静かなリーダーシップ』という書籍を読みました。
ヒーロー型のリーダーが好まれるアメリカで「静かなリーダーシップ」が研究される。
少し興味深かったです。感じたことをまとめてみます。
○アンチ・ヒーロー型リーダーシップ
-臆病で慎重である。
-自分の利益・キャリアは守りたい
-カリスマでもなければ、特に頭が良いわけでもない
-強い使命感や理想はないが、自分の価値観で生きている
-不利益があっても、できるだけ時間を稼ぎ、時期をうかがう
こんな人が「静かなリーダー」
○現代は物事が入り込みすぎており、白黒とはっきり分かれられる
時代ではない。間違ったことをその場で「間違っている」と組織の中
で言っても、すぐに何かが改善されるわけではなく、逆に状況を混乱
させたり、自分の立場を危うい者にすることがある。
○ヒーロー型のリーダーにみんなはわくわくするが、実は無数の無名
の人が世界を毎日動かしている。中間管理層としてリーダーシップを
発揮しないといけない人はそれとは違うリーダーを目指すべき。
○静かなリーダーに必要なこと
1 現実を直視する
2 行動はさまざまな動機に基づく
3 時間を稼ぐ
4 賢く影響力を活用する
5 具体的に考える
6 規則を拡大解釈する
7 少しずつ徐々に行動範囲を広げる
8 妥協策を考える
○静かなリーダーに必要な3つの特徴
1 自制
2 謙遜
3 粘り強さ
この本をもとに授業で議論もしたので、それについてもご紹介します。
○周りを見る。バランス感覚が必要で、影響力を発揮するにはインサイ
ダーになる必要がある。
○リーダーでも個人のことを考えても構わないのではないか。実は俗でいい。
○感情的にならずに多角的に分析。優先順位をつけて解決に取り組む
第三者に相談する。自分の立場を理解する。無謀な戦いをしない。
正しいことがショートカットとは限らない。
○スケジュールが遅れたことがあり、原因は取引先だったが、自分たちの
原因として、逆にことがうまく運んだ。処世術、洞察力の必要性を学んだ。
○マイナス面
計算をふまえて自分の立場をコントロールして生きている人もいるのでは
ないか。
○中庸という考え方で、とても日本人的?? これもリーダーシップと言えるのか?
○医師としてエピソードが起こらないように静かなリーダーシップを目指していた。
−病院によって、インフォームドコンセントや書類等のオペレーション整備が異なった
−手術などの大きな処置は、同意書の他に、自作の説明書を用意
−説明は十分に時間をかけて
→結局、それが自分の身は自分で守るスタンス
○全員がヒーローになっても、組織はまわらない
○自然科学は真理。社会科学はコンセプト。
理論を学ぶのは、こういう風にするとこうなることがある、ということしかない。
ただ移ろいやすい。
○社会運動をどう起こすか。
組織や動きを自分のものとしてとらえられたとき人は動く。ウェーブは自己
組織化の原理。
○どう人を動くか。
1 人がやっていることをまねる
2 何かを起こそうとする人がいる
人は多数派についていく。
その人が信頼されているかどうか
○信頼性はあなたが築き上げてきたことから判断する。
結びつきで担保される。
○うまいリーダーは周りの人と前提条件を一緒にする。
自分に害があると思うと、人は動かない。
「うまくやってほしい」という言葉は、コンテキストが一緒だったら言える。
○言葉で言っていることは行動につながる。言葉は力になる。
また気になることの羅列でごめんなさい。議論は本当に尽きない感じでした。
感じたのは、自分を犠牲にして人や組織のために尽くすリーダーはかっこ良
くはありますが、なかなかそのような行動を取るのは現実的にはむずかしい。
やはり自分の出世も考えたいし、評価されたいと人は思う。
この本ではそのようにリーダーが利己的になることは問題ない、健全で
あるとあり、それはとても新しい感じがしました。
一方で、ときに時間を稼ぐことが大事だともあり、インターネットによって
世の中の変化のスピードがかなり早まる中で、逆にときに「時間を稼ぐ」
ことが大事だというのはとても興味深かったです。
普段とは異なるリーダーシップの視点を提供してくれる気がしました。
よかったら読んでみてください。
よい日曜日を過ごされてください。