修士論文の書き方
2013年 04月 04日
この4月で2年生になる人も多く、どんなテーマの論文を書くのか、それ
ぞれプレゼンもしました。ただ、話したように、課題は多く。
事前に「論文の書き方」という講座を昨年開催し、それを見るようにとの
指示がありました(私の大学院はすべての授業をアーカイブしています)。
いろいろ役に立つ考え方があり、自分の防備録として以下に、気になった
ことを記します。
(私の大学院はリアルプロジェクトというのを掲げており、普通の論文と
は少し異なることがあるようなので、ご了承いただけたら幸いです。)
○修士論文とは?
-独自の行動の報告であること
‐証拠があること
‐論理的であること
○構成
第1章 全体の紹介
第2章 先行研究、事例研究のレビュー
第3章 コンセプト(仮説)の提示
第4章 コンセプト(仮説)の検証
第5章 結論
○方法
-質的(インタビュー、観察、その混合)
-量的(数を重ねる)
○スタイルを守る
○トピックを選ぶ
-自分の感情を込めることができるトピックを選ぶ
(感動するもの、心から好きなものでないとプレゼンできない)
-自分が生活している世界に関係しているトピックを選ぶ
-関係する論文をいくつか読んでトピックを選ぶ
-自分のやりたい領域を全体的に俯瞰することを意識する
→人に説明できるまで理解する
-その中で自分が期日までに証明できるトピックに焦点を当てる。
○トピックのコンテキストを明確にする
○トピックを選んだら次の質問をする
いつ when
どこで where
誰が who
何を what (何をするか、動詞で考えてみる)
どのように how
なぜ why
○research questionとは?
この言葉に惑わされない。なぜこの調査を行うのか、それは##を知りたいから
という感じで考えればいい。
○証拠があること
研究には2種類の資料がある。
1次資料:自分が導き出したもの
2次資料:他の人がいっていること←この場合、パラフレイズして紹介する
○キータームを選ぶ
トピックに関連するキータームを選ぶ
デジタルライブリーでキータームを検索する
○第1章の書き方
-イントロダクション
-論文のテーマの紹介
-なぜ選んだのか
-目的
-うまくいったときの成果を定義
-研究の価値
-議論に使う言葉の定義
-研究の範囲を示す
-倫理的な問題を解決してくれることを示す
○第2章の書き方
-先行研究の紹介
時系列に論文を並べるだけではだめ
研究分野がわかるように論理を組み立てる
-選考事例を自分の研究と関連付ける
-少なくとも9つの論文をパラフレーズしてレビューする
-自分の研究が自分の研究分野にどのように貢献するかを書くこと。
○第3章の書き方
-方法の選択とその証拠を示す
・エンジニアリング・サイエンス
・社会科学・人文科学
・アクションリサーチ
・デザイン
-コンセプトの提示
仮説・プロトタイプ
-仮説の説明
○第4章の書き方(証明)
-仮説 データ
-プロトタイプ ユーザーズスタディ
○第5章の書き方
結論を必ずつける
仮説/コンセプトが証明された結果、どのようなことが可能になるか。
なぜこの研究をしたか
○学術倫理
<一般>
殺すな、盗むな、嘘をつくな
<学術>
・盗むな、うそをつくな
・制度は性善説でできている
・ただ、盗んだり、嘘をついたら、学術的な死を迎える
○引用元を明示する限りにおいて自由に引用できる(図表は注意)
レビューの場合はコピペではなく、パラフレーズして引用するのが望ましい
○知らずに、無意識のうちに誰かと同じことをやってしまうことがあるので、
気をつける
○相関と因果関係
原因と結果を示すことを目指す。相関するだけならそれを言う。
統計は直感から人を解き放つ。
統計を間違えて使うと「ダークサイド」に落ちる
相関は何か出るかもしれない、因果関係を考察することをできるだけ
論じること。
○論文は楽譜
素晴らしい音楽を思いついた、どうするか?
演奏だけだと消えてしまう
映像記憶があれば状況がわかる
楽譜があるとわかりやすい
○論じるとは
ひとつの論文でひとつの論理
やった順番で書く必要はない、他社がわかりやすい順番で書く
やったことをすべて書かない、論じるうえで必要なことのみ書く
○何を論じるか
作ったもの、サービスをせつめいするのではない、コンセプトを説明する
そこにいたる手法こそが重要、結果でなく「方法論」、「切り口」が「作って
みた」と「研究」の違い
得られた知見、説は
・どこまで一般化できるか
・どこが限界か
Lesson Learnedを書く
○新たなもの、価値を実現する。まねされるくらいのものを作ろう。それを
論文に残そう。
○都合の悪いデータはかくさない。
なぜそうなったか考える。どこを改善したらいいのか、どういう意味かを
考える
○客観性が必要。意見はだめ。人を説得すること。形式を守ることは大事。
○論文は未来への手紙
文章は最も早く「経験」を記録・伝達することが可能
自分の失敗、成功を後輩に伝える
その場で終わらない、積み重ねができる
積み重ねこそ学問の価値
長くなり、ごめんなさい。ありがたいことに、いろいろ書かせていただいて
いますが、それとは全然異なるものだと実感。
人を説得するために論じる、「未来への手紙」、客観性、仮説を検証ー
肝に銘じたいと思います。実践できるかどうかで、道は長いですが、これ
を念頭に入れて、作成に取りかかっていきたいと思ったのでした。